(──絶え間なく泡が螺旋状に上昇し続けている川を取り巻くようにして存在する大都市「壺」。 さて、この都市のはずれに貴方が生まれた。文化を持つ貴方がこの世界に関わったのだから当然のことである。いま、私が貴方の文化に触れて感化されたのと同様に、貴…

ドットの鳥.pmf

正方形から飛び出す二本の線、僅か14dotの構成、3枚の絵の繰り返しで表現される動き、右からフレームイン、左へフレームアウト、次はその逆、動作の繰り返し。 昔、熱中していたビデオゲームに繰り返し出てきた鳥型の敵キャラクターだ。幼い私はこの鳥をひど…

存在の問いの必然性 →存在は、最も自明であり、最も普遍的な概念であると思われること、また定義されえないことから、暗がりにあるものであり、それが存在の問いが再度行われる原理的な必然性を示す。 存在の問いの(形式的)構造 →問う事は求めることであり、…

パイプの巣

──バスに半日揺られた末に、この地を踏んだ。山に囲まれており、かつ道が舗装されてない為なのか、8月であるのにも関わらず比較的涼しげだった。 曲がりくねった畦道を歩いていくと、幾つもの破家(あばらや)を見かけた。木製のサッシに嵌った擦り硝子を通し…

二〇一九年三月十四日に見た夢

大きいが閑散な洋服屋にてカップル同士が喧嘩している。私は彼らを知っていて、彼らの喧嘩が落ち着いたらお金をせびる事ができると思った。 ちょうど声が聞こえなくなった為、彼らに近づき、女の方に、「喉が渇いた。コーラを買いたい」と話した。女はしぶし…

『薬膳料理』の魅力.pmf

やはり私は『薬膳料理』が好きだ。もっとも膳には既に料理という意味が含まれているために辞書的には正しくはない言葉ではあるが、私が好きな類の料理においては薬膳でなく、『薬膳料理』と呼ぶ方が正しい。 そもそも本来の薬膳とは漢方薬の材料を使った中国…

変チン(途中)

ある朝、凍える寒さによってなにか胸騒ぎのする夢から醒めると、ベットのなかの自分が一つのばかでかい陰嚢に変わってしまっているのに気が付いた。――といっても起きてすぐに陰嚢と分かった訳ではない。まず薄膜に包まれたような思考の中で、皮膚表面の感覚…

十勢地町―2

がらっとカーテンを引き、捨蔵は下界を見下ろした。鋭いブレーキの音と鈍い衝突音により安眠を妨げられたからである。しかし、事実は特に面白みもなく泥にまみれた野良猫が車に轢かれていただけだった。 捨蔵は視線を朝焼けの空に向けて漠然と考えた。野生動…

十勢地町ー1

これは私の遺書のようなものである。私には配偶者も親族も既にいないのだから、これを読んでいる貴方はおそらく清掃業者であろう。 部屋に散乱している大量の手書きの地図は全て自作であり、架空のものである。つまり、そこに書かれている地名や地形は実在し…

電車の中に居た人達

【10/18 8:37】目の前の優先座席に老人が座った。歳は60-70くらいか。natural flight(大文字)とかかれたベージュの手提げ鞄を持ち、その中から青いビニール袋がはみ出している。その青いビニール袋の中身はA4サイズのルーズリーフが数枚、これもまた少しはみ…

傘という憎たらしい奴

雨ってのはつくづく人を苛つかせる道具だと強く感じたのはまだ蒸し暑い九月の頭、もちろん雨が降っていた日のことだ。 その日俺は、学校側の方針で少し夏休みが盆から9月末まであるため、母方の祖母の家に帰省し、次いでに京都の美術館に行くことにしたのだ…

京都のタギング、ステッカー

まくらは後日余力があったら追加する。ともかく今回は京都で見たタギング及びステッカーを淡々と紹介する。 『駐輪禁止』と書かれた看板(とその近く)にステッカーと二つのタギング。あのよく見る赤のステッカーのモチーフは忍者と思っているが、真偽は如何に…

○○「寝ることが趣味です」

現代において、寝ることが趣味という人は意外に多い。 特に私が中学生の時分にこの趣味を持った人が周りに最も多く、三十人いるクラス内に約十八人も存在していた。 しかし、感覚的にも読者の殆どはこの"寝ること"は趣味とは思えないであろう。 なぜなら、"…